1.IT技術の飛躍的な進歩とスピードへの対応の問題

 1990年代中盤からつづく、IT技術の飛躍的な進歩とスピードは凄まじく、この傾向は今後とも緩むことなく、さらにロケットエンジンを 搭載したかの如くに、その勢いは増すばかりでしょう。
しかし、コンピュータによる業務システムの開発と導入との側面から捉えると、IT技術者自身がその飛躍的な進歩とスピードへの対応に慢性的に追われ、 システム開発の必須要件としての業務知識の習熟と具現化技術への対応がなおざりにされているのが実体ではないでしょうか。
特に、システム開発の上流工程に位置する、システム化計画(要件定義)・基本設計(業務設計)フェーズにおいては、 業務知識を習熟したIT技術者の参画が開発の成否を握る最重要のファクターであるにも関らず、 人材不足は業界全体で潜在化している深刻な問題です。

2.業務知識を保有するIT技術者の急激な減少

 弊社の事業の柱となる工場の生産管理分野においても、 従来は向上のIT部門と現場実務サイド一体化した開発体制のもとでシステム開発できたことが、 結果的にIT技術者の業務知識が習熟されるというOJT環境を提供していました。
しかし現在は昨今のIT技術の進歩とスピードへの対応で振り回され、工場のIT部門が自社内のインフラ整備と保守に大半の時間を割かれ、 息絶え絶えで日常業務をこなしているのが現状ではないでしょうか。
さらに、最も業務知識と経験豊富な団塊世代のIT技術者の、第一線からのリタイアが2007年度問題に言われる如くに加速され、 IT業界における業務知識不足の問題は急速に顕在化しつつ、その深刻度は拡大するのみです。

3.日本の製造業に関わる弊社の基本理念

 家電製品等に見るモジュール組立品の組立製造については、 現在中国を中心にしたアジア各国に分散される傾向にありますが、 この動きは避けがたい現実として今後も容認せざるを得ないことでしょう。
しかし素材からの削出しによる部品加工と、 当該部品を用いた繊細なすり合わせ技術による組立品の製造に於いてはヨーロッパ諸国と違い、 古来【木】の文化を中心に産業が発祥したアジア諸国では、 日本が唯一のノウハウを有する他の追随を許さない国と認識しています。
多くの先達が血と汗にまみれ、 長い年月と臥薪嘗胆の苦労を重ねて築き上げた、 世界に誇れる製造技術と卓越した技能を、後世引き継ぐためにも、 豊富な業務知識をベースにした多くのシステム導入の実績を踏まえて構築する工場生産管理システムを提供することで、 微力ながらその一翼を担えればと念じています。